2023年12月4日、枚方市総合文化芸術センター別館 第5会議室で、あんゆうケアの医療的ケア現任研修を実施しました。講師を含めて21名が参加しました。
今回の現任研修のテーマは「医療的ケア・グレーゾーン」。講演と意見交換を行いました。
はじめに、新居真理さん(医療的ケア当事者の家族、バクバクの会)に「医療的ケア当事者の自立生活と『グレーゾーン』」をテーマに、事業所ごとにグレーゾーンへの対応をめぐる違いがあり、家族が離れられない課題などをお話いただきました。
続いて、総務部医療的ケア担当から、「『医療的ケア・グレーゾーン』の内容・課題とあんゆうの役割」をテーマに、利用者(当事者)ごとのグレーゾーンの内容と、それを担う事業所がなければ医療的ケア当事者の自立生活を支援できないことが伝えられました。
次に、総務部法務担当から、「『医療的ケア・グレーゾーン』の法的位置づけ」をテーマに、厚生労働省の通知や障害者団体と厚労省の交渉経過が資料をもとに説明され、私たち事業所やヘルパーの「責任」、行政への対応について、確認しました。
その後、講師や医療的ケア当事者・家族とヘルパーの意見交換を行いました。
最後に、私から次のような挨拶を行いました。
●一人ひとりの医療的ケア当事者のこの間の自立への行動が、人材育成をはじめ、それぞれの医療的ケア当事者の自立にプラスに影響しています。当事者同士の交流・協力が必要と考えます。
●14名のあんゆうヘルパーが医療的ケアの実践を担っています。訪問系サービスで医療的ケアを実践するヘルパーの数は、枚方市では屈指の人数となっており、他事業所のグレーゾーン対応や行政にも影響を与えていると思います。
●医療的ケア当事者は、文明がない時代は生命維持ができませんでしたが、医療の進歩によって病院や併設施設での生命維持が可能となってきました。そして、いま、「地域で生きる」挑戦が始まっています。そういう意味で、医療的ケア当事者の自立生活の実現は、文明や社会の成熟度の指標(メルクマール)となります。
●第2次世界大戦が現代社会の政治・経済・文化を規定しています。そして、ナチス・ドイツ抜きには第2次世界大戦を語れず、優生思想抜きにはナチスを語れません。
ユダヤ人虐殺の前に障害者虐殺があり、医療関係者はナチスからの中止命令が出ても虐殺を継続しました。人間の命に優劣をつけるため、まずは障害者が犠牲となりました。誰かが初めて「虐殺」に手を染め、後に続きましたが、手を染めた人々は、自分の行為が100年後の未来に影響を及ぼす自覚を持っていたでしょうか?
障害者の自立支援に関わる私たちの価値観と実践が、歴史を動かし未来の社会を方向づける可能性があります。
安田 雄太郎
Comments