2023年8月29日、枚方市障害福祉サービス事業者連絡会は、枚方市総合文化芸術センター別館 大会議室で全体会を開催し、認定NPO法人ゆめ風基金 事務局長の八幡隆司氏を招き、「業務継続計画(BCP)と障害者防災 ~ 被災障害者への支援経験から ~」をテーマに講演会を実施しました。
2021年度の制度改定により、感染症や災害が発生した場合でも、必要な障害福祉サービス等が継続的に提供できる体制を構築する観点から、業務継続に向けた計画の策定や研修及び訓練の実施等が義務化されました。まだ策定できていない事業所も、今年度中の策定が義務付けられています。
また、枚方市障害者計画等の策定や実施状況についての審議においても、災害時における障害者の安否確認や避難誘導等を事業者と行政が連携して担う仕組みをはじめ、災害時対応の課題が多方面でみられます。
講演では、阪神淡路大震災を機に発足し、被災障害者への支援活動を全国に先駆けて取り組んでこられた「ゆめ風基金」事務局長の八幡隆司さんをお招きし、「ゆめ風版BCP」をはじめ、被災現場でのこれまでの実践を踏まえた「障害者防災」についてご提言いただきました。この研修をとおして、災害時に向けて事業者と行政が何を準備しておく必要があるのかを考える機会を持てたと思います。
●事業者連絡会会長 安田雄太郎 挨拶
日頃は、事業者連絡会の運営にご協力いただき、ありがとうございます。
さて、本日は、ゆめ風基金 事務局長の八幡さんをお招きし、「業務継続計画(BCP)と障害者防災」をテーマにご講演いただきます。
事業者連絡会はこの間、枚方市において災害時に障害者の安否確認や避難誘導等を事業者と行政が連携して担う仕組みを要望し、図上訓練などが実施されてきましたが、課題も多く残されています。
BCP策定の義務化をきっかけとして、災害時に障害当事者の命と生活を守るために必要なこと、平常時から準備できることを考える機会にしていきたいと思います。
東日本大震災における障害者の死亡率は全住民の死亡率と比べて2倍近くあったと言われているように、災害時は平常時の差別や格差が顕著に現れます。平常時の「障害者と共に生きる地域をつくる取り組み」と「防災の取り組み」は地続きであると考えます。
以前、事業者連絡会の研修で講師を担ってくれた障害当事者の鈴木絹江さんが、2021年に残念ながら亡くなられました。鈴木さんは、障害当事者をカナリアに喩えられていました。カナリアは炭鉱で危険を早期発見するために重宝されてきました。つまり、障害者が災害時に直面する困難を予測し、災害時に命と生活を守ることができるサポート体制をつくることは、障害当事者のみならず、すべての市民の防災の底上げにつながるということです。
事業者連絡会は今後も、事業者間の連携、行政との連携を強め、障害者防災の取り組みを推進することをとおして、災害に強いまちづくりに寄与していきたいと思います。
今後とも、ご理解・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
安田 雄太郎
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