2022年9月25日、NPO法人ポムハウスが枚方市で実施した喀痰吸引等第3号研修(医療的ケア研修)に講師として招かれ、障害当事者の立場で「障害者権利条約と日本の障害者の権利」をテーマにお話させていただきました。
ポムハウスさんは箕面市を拠点に活動されていますが、近年は枚方市においても年2回程度の研修を実施されています。代表の折田涼さんや枚方市の新居優太郎さんをはじめ、医療的ケアを受ける当事者を中心とする実践的な研修が特徴です。
あんゆうは、2021年9月に大阪府への登録喀痰吸引等事業者(登録特定行為事業者)の登録を行い、医療的ケアを実践しています。
実践するなかで、介護職員(ヘルパー)が医療的ケアを行う場合、「事務負担」「費用負担」「開始までに時間がかかりすぎる」ということが大きな課題であると感じています。
この研修(基礎研修)を受講しただけでは医療的ケアは実施できず、大まかに以下の手順が必要です。
●基礎研修受講→指導看護師への実地研修の依頼→研修機関への書類提出→実地研修→研修機関への報告書提出→大阪府への書類提出→認定
それぞれの過程で煩雑な書類作成や研修費用が必要であり、訪問看護師、利用者、ヘルパーの3者の研修日時調整にも時間がかかります。しかも、ヘルパー1人ごとにすべての手順が必要であり、さらには、基礎研修以外は利用者1人ごとにもすべての手順が求められます。加えて、ヘルパーが辞めた場合も利用者ごとに大阪府への報告書が求められます。
費用についても、1日最大1000円の加算のみで、事務的負担も勘案した場合、事業(ビジネス)としては成立しにくい構造となっています。
医療的ケアを伴わない重度訪問介護や居宅介護などの訪問系サービスと比較しても、事務負担や費用負担が大きく、その結果、担う訪問系事業所がほとんどないという現状です。
医療的ケアを推進していくためには、これらの課題解決が必要であると考えます。
安田 雄太郎
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