2023年2月22日、ラポールひらかたで、枚方市医療的ケア児等支援連絡会議が開催され、参加しました。
この会議は、「枚方市における人工呼吸器を装着している障害児や、その他の日常生活を営むため医療的依存度の高い状態にある障害児等と、その家族を地域で支えられるようにするため、医療・保健・教育・保育・福祉を担当する各機関が、地域の課題や対策について意見交換や情報共有を図り、効果的に施策の推進を図るため」(会則)に2019年に設置されました。枚方市医師会や市立ひらかた病院、枚方市訪問看護ステーション連絡会や枚方市保健所、交野支援学校や枚方市教育委員会など、16機関で構成されています。
以下は、枚方市障害福祉サービス事業者連絡会から提出した資料の一部である「新居さんの意見書」です。
●枚方市医療的ケア児等支援連絡会議の皆様へ
昨年、枚方市医療的ケア児等支援連絡会議で意見文を提出させていただいた新居です。人工呼吸器を使う息子・新居優太郎(23歳)の親です。枚方市の行政や医療の関係各所の皆様には大変お世話になっております。
昨年は医療的ケアの子どもさんの通学について触れさせていただき、支援学校では車で送迎されている保護者がいたり、介護タクシーの通学支援の制度ができて、訪問看護さんとの協力で看護師配置で通学されていることもあるようですが、そのタクシーや看護師さんの手配、キャンセル料のことなどで、保護者に金銭的にも時間的にも負担がかかっていることを聞いていましたが、その後状況は改善されたのでしょうか? 使いづらい制度のために、タクシーを使えず、自力で運転して送迎されている方や、通学をあきらめている方もいるようなので、使えないとせっかくの制度も意味がないので、一人でも多くの医療的ケア児が使えるようにしていただきたいです。これは府の方にお伝えするべきことかもしれませんが、引き続きお願いします。
様々なケアや配慮が必要な医療的ケア児(者)といっても一人の子ども(人)で、地域の中で在宅や学校といった社会の中で過ごしています。ケアの度に医師や看護師の方に常に対応してもらうわけにもいかず、介護の負担は保護者や家族に重くのしかかってきます。自宅から外出する際には、看護師の方にケアをしてもらうことはできず、介護ヘルパーの方しか同行はしてもらえません。看護師の在宅縛りの問題も近年聞かれるようになってきていて、学校でのケアや泊を伴う行事にも訪問看護ステーションさんにも協力してもらって同行してもらったりもしています。しかし、圧倒的に人材も足りず、介護ヘルパーが医療的ケアの研修を受けて対応することも可能になっていますが、研修の費用や手続きの手間、複雑さといった負担も大きく、実地研修を担う看護師さんも日々の業務に追われ、なかなか人材育成が進みません。
それだけ苦労して研修して、都道府県の認可もおりて業務に携わってもらっても、事業所への加算も少なく、赤字必至です。報酬等の話は国レベルの話かもしれませんが、それでも医療的ケア児(者)は家族の負担なしに日常生活を送ることが困難なので、医療職と介護職のさらなる連携をお願いしたいです。
医療的ケア児支援法でも謳われている医療的ケア児支援センターが、全国でも少しずつ設置されてきていて、大阪府でも来年度(R5年)に設置予定と知りました。その設置に関わるワーキンググループの会議で当初、府内で3か所(北部、大阪市内、南部)設置予定で話が進められてきていたのが、予算の関係で1か所になる予定だと伺いました。他府県ならまだしも、府内にはたくさんのケア児(者)がいて、1か所で対応できるのでしょうか? 府内全域で情報共有したり、それぞれの当事者からの相談を吸い上げる仕組みが必要であると思われます。3か所であってもうまく機能するのか疑問です。そこで、各市町村でも支援センター的なものを立ち上げて、障害当事者もそこに所属して相談支援にあたるなどして、現場の声を市町村から都道府県、そして必要なら国の方へも上げていただいて、問題の解決や情報共有につなげてもらうよう対応してもらえたらと考えます。
医療的ケア児等支援センターの場合、それに関わる方々は医療職の方がほとんどで、福祉の分野や当事者の方は少ないので、医学モデルでのみ進めてもらわずに、当事者の意に沿った社会モデルの考えでセンターの業務に携わっていただきたいし、市の方でもそれに準じた支援センター的なところは、当事者抜きに専門家のみで相談を受けるのではなく、申し出をきちんと反映していただけるものであってほしいです。
地域の小中学校においても、医療的ケアの子どもがたくさん在籍しています。昨年4月の文科省の通知が出されたことによって、今までの枚方市の支援教育の在り方が問われるようなことがありましたが、その流れで次年度に枚方市でも支援教育充実審議会が作られて審議されていくと聞いています。その構成員には医師や研究者などの有識者の方を検討されているかと思いますが、医療的ケアの子どもを患者としてではなく、一人の子どもとして健常の子どもたちとともに学ぶことができるように、当事者や医療的ケア児の保護者なども構成員に入れていただくよう、強く要望したいです。
2023年2月22日
新居 真理
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