2021年3月19日にメセナひらかた会館で、枚方市障害福祉サービス事業者連絡会の全体会を開催し、日本自立生活センター(JCIL)事務局員でありヘルパーの渡邉琢氏に「コロナ禍において障害者が地域で生きるとは ― 施設・病院からの地域移行と人材不足の課題」をテーマに講演いただきました。
「今は自宅で普通食を食べているのに、入所施設にいたときは、誤嚥性肺炎のリスクを理由に10カ月間も絶飲絶食させられた」「病院併設の療養介護施設のほうが、自宅よりも病院での診察を制限され、自由に診てもらえなかった」という障害当事者の体験談の紹介が印象的でした。
コロナ禍で施設・病院の閉鎖性が強まっている課題を強調されていました。
以下、私からの会長挨拶を紹介させていただきます。
日頃は、連絡会の運営にご協力いただき、ありがとうございます。
はじめに、本日は、会場に70数名、オンラインでの参加24名が予定されています。
さて、2020年度は新型コロナの影響で、全体会の開催も書面決議を含めて3回となりましたが、『ひらかた障害福祉通信』の発行や「枚方市社会福祉審議会 障害福祉専門分科会」での枚方市障害者計画等の策定議論をとおして、地域生活や地域移行の重要性を伝えてきました。
一方で、とりわけ居宅介護等の訪問系介護の人材不足は深刻で、コロナ禍が追い打ちをかけています。昨年起こった「京都ALS患者嘱託殺人事件」で、死を望んだとされて殺された女性は、17カ所もの事業所からヘルパー派遣を受けていたとされ、事件の背景には深刻なヘルパー不足があったと言われています。
私たちが関わる利用者・当事者にも深く関係する課題であり、障害があっても「生きていきたい」と思える社会をつくっていくことが、私たち支援者の責務であり、私たち以外にその役割は果たせないからこそ、事業者間の協力と行政との連携が重要であると思います。
本日は、京都から日本自立生活センター(JCIL)の渡邉琢さんにお越しいただき、「コロナ禍において障害者が地域で生きるとは ― 施設・病院からの地域移行と人材不足の課題」をテーマにご講演いただきます。渡邉さんの事業所では、多くの重度障害者の地域移行をはじめ、地域での暮らしを支える取り組みを実践され、介助する立場から様々なメッセージを発信されています。
コロナ禍で厳しい今だからこそ、あらためて「地域移行がなぜ必要なのか」「地域で生きるとはどういうことか」「ヘルパー不足をどう解決していくのか」を渡邉さんと共に考えていきたいと思います。
在宅で暮らす障害者の個々のニーズに応じて、個別のケアを継続していく実践は、地域社会から差別・排除を受ける当事者の生活を支える実践でもあり、その背景には様々な社会問題が凝縮されており、時には支援する側も大きなダメージを受けると思います。
しかし、これだけ身近で、直接的に、日常的に、継続して、人が人を支える実践は、コロナ禍の今だからこそ重要であり、コロナ後の社会において、排他的な社会ではなく、多様な人々が共に生きていける社会をつくるため、大きな役割を担える可能性があると考えます。
今後とも、連絡会へのご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
Comments