2023年2月20日、枚方市総合文化芸術センター別館 大会議室で、枚方市障害福祉サービス事業者連絡会の全体会を開催しました。
今回は、「障害者権利条約の対日審査・総括所見と障害者が地域で生きる権利」をテーマに研修を行いました。昨年8月、スイス・ジュネーブにおいて障害者権利条約の対日審査(国連障害者権利委員会と日本政府による建設的対話)が行われ、9月には総括所見等が公表されました。脱施設やインクルーシブ教育の遅れ、精神科病院における非人道性をはじめ、優生思想の問題についても指摘されています。
一方、北海道のグループホームで、結婚や同居を望むカップルに不妊処置が提案され、手術等が実施されていた問題が昨年末から報道されています。厚労省は先日、全国の自治体に「サービス利用の条件として不妊処置を求めることは、人格尊重の責務規定に違反する」として、違反が疑われるケースの報告を求めるなどの対応を始めています。
また、昨年には大阪高裁と東京高裁で、優生保護法のもとで強制された不妊手術に対する国家賠償を求める判決が出るなど、優生思想と優生政策を問い直す運動が取り組まれています。
講演では、優生保護法を巡る裁判への支援を取り組まれ、ジュネーブにも行かれたDPI 女性障害者ネットワーク代表の藤原久美子さんをお招きし、グループホームでの不妊処置問題や優生保護法の問題をはじめ、障害者が地域で生きる権利について、障害者権利条約の対日審査・総括所見を踏まえてお話いただきました。
●安田雄太郎 事業者連絡会会長 あいさつ
日頃は、事業者連絡会の運営にご協力いただき、ありがとうございます。
さて、本日は、DPI女性障害者ネットワークの代表で自立生活センター神戸Beすけっと のピアカウンセラー兼事務局長の藤原久美子さんをお招きし、「障害者権利条約の対日審査・総括所見と障害者が地域で生きる権利」をテーマにご講演いただきます。
周知のように、昨年、国連障害者権利委員会と日本政府による建設的対話が行われ、総括所見が公表されました。脱施設・病院、インクルーシブ教育の推進をはじめ、日本国内でさまざまな改革を行うことが求められています。
枚方市においても、先日開催された社会福祉審議会障害福祉専門分科会において、地域生活支援拠点の整備等にかかるワーキンググループの設置が決まり、事業者連絡会としましても、深刻化する人材不足の課題も含めて、地域移行・地域生活支援の推進に向け、議論に集中していきたいと思います。
一方、北海道のグループホームにおける不妊処置問題や優生保護法をめぐる全国での裁判の動向をはじめ、優生思想と優生政策への態度が、私たち事業者・支援者にもあらためて問われていると思います。
「当事者主体」や「当事者の参画」を公然と否定する社会ではなくなりました。しかし、依然として、多くの場面で、当事者抜きに決められています。その背景に何があるのか? 女性であり障害当事者の立場で、女性障害者への複合差別の解消に向けて取り組まれている藤原さんの講演をとおして、考えていきたいと思います。
障害当事者の日常生活の支援現場にいる私たち事業者が、障害者権利条約の対日審査・総括所見を学び、自ら実践し、地域にその意義を広めていくことは、障害者をはじめ、多様な人々が暮らしやすい社会の構築につながると考えます。
事業者連絡会は、今後もさまざまなテーマで、障害者の権利について研修や情報発信の機会をつくり、サービスの質の向上とインクルーシブ社会の推進に尽力していきたいと思います。
今後とも、ご理解・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
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