枚方市障害福祉サービス事業者連絡会の2021年度総会(書面決議)の「事業計画」における「障害者を取り巻く現状と連絡会の役割」を紹介します。
【障害者を取り巻く現状と連絡会の役割】
昨年度は、新型コロナウイルスの世界的な蔓延によって、社会経済活動が未曾有の制約を受け、連絡会の活動はもとより、障害福祉サービス自体が、様々な困難に直面しました。この状況は、社会参加のさらなる制約をはじめ、障害当事者の生活を今も脅かしています。
こうしたコロナ禍においても、行政との連携や事業者への情報提供という連絡会の役割を果たすため、全体会の対面とオンラインの併用開催や『ひらかた障害福祉通信』の発行を新たに試みてきました。
一方、コロナ禍においても、障害者を取り巻く施策等の変化がありました。枚方市の障害福祉施策に関わる昨年度の主な動きを3つ紹介します。
1つ目は、「枚方市障害者計画(第4次)・枚方市障害福祉計画(第6期)・枚方市障害児福祉計画(第2期)」の策定です。連絡会としても、「枚方市社会福祉審議会 障害福祉専門分科会」等での審議をとおして、地域生活や地域移行の重要性を伝えてきました。
2つ目は、「手話でつむぐ住みよいまち枚方市手話言語条例」の制定です。ろう者(当事者)や当事者団体が条例の制定議論に参画して成立した意義は大きいと考えます。
3つ目は、「枚方市成年後見制度利用促進基本計画」の策定です。連絡会としても、「枚方市社会福祉審議会(本審)」等での審議をとおして、障害者の権利擁護の必要性を強調してきました。
また、全国的にも、公立小中学校のバリアフリー整備義務化などを盛り込んだ改正バリアフリー法の成立、民間事業者にも合理的配慮を義務化することや相談体制の強化などが盛り込まれた障害者差別解消法の改正など、私たちを取り巻く法制度が変化してきました。
他方、障害者への虐待、とりわけ入所施設や精神科病院における虐待は、コロナ禍に伴う面会制限による「密室化」の中で、さらに深刻化しているという課題も指摘されており、私たち事業者の人権意識の向上に向けた取り組みがますます重要となっています。
また、人材不足も深刻で、コロナ禍が追い打ちをかけています。昨年起こった「京都ALS患者嘱託殺人事件」で、死を望んだとされて殺された女性は、17カ所もの事業所からヘルパー派遣を受けていたとされ、事件の背景には深刻なヘルパー不足があったと言われています。
人材不足によるサービスの質の低下は、障害のある市民の生活の質の低下に直結します。コロナ禍等で厳しい状況にあるからこそ、枚方市における事業者と行政の連携がますます重要であると考えます。
今年度も全体会の開催や通信の発行によって、様々な情報やメッセージを発信していきたいと思います。会員事業者の皆様からのご意見を頂きながら、より良い枚方市の障害福祉サービスを構築し、障害のある市民の生活を豊かにすることをとおして、すべての市民が暮らしやすいまちづくりを推進していきたいと思います。ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
2021年6月28日
枚方市障害福祉サービス事業者連絡会
会長 安田 雄太郎
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