
2023年3月から4月にかけて大阪府が募集した「大阪府福祉のまちづくり条例ガイドライン改訂(案)」に対する府民意見等について、以下のパブリックコメントを提出しました。
【パブリックコメント】
私は普段から電動車いすを利用して生活している障害当事者であり、今回の「大阪府福祉のまちづくり条例ガイドライン」には細部にまで障害のある人たちに配慮された要項がもりこまれており、とても嬉しく思います。
私からの要望といたしましては以下の4つです。
(1)多目的トイレにおいて、介護が必要な利用者が便器を利用する際に左右の両側どちらからでも介護できるように十分なスペースを確保していただきたいです。利用者の身体的な事情や普段の介護方法からして決まった角度から介護することが望ましい時がありますが、便器の配置によってそれが難しいことが多々あります。
(2)多人数が利用する施設にてエレベーターは常に満員乗車状態で、健常者はぎりぎり乗り込めても車いす利用者は乗れないことがあります。何度もエレベーターが到着しているにもかかわらず、長時間利用できないことが多いです。複数エレベーターがある場所では車いす優先のものを作る等、車いす利用者もスムーズに利用できる仕組みを作っていただきたいと思います。
(3)店舗の中で特に商品棚が羅列されているような場所では、通路の幅を最低でも車いすが回転できる程度のものにしていただきたいと思います。あるいは、通路同士の間に踊り場のようなものを設置し、そこで車いすが回転できるようにしていただけたらと思います。これによって車いす利用者の店舗の利用がとてもスムーズなものになると思います。
(4)映画館の車いすスペースの位置が一番前のことがよくあります。私は普通の座席が使えず車いすスペースを利用するのですが、一番前で映画を鑑賞するのは首に負担がかかります。一番前の席を利用すること自体はいいのですが、問題は他の観客がほとんどいない時でもその席を選ばなければならないということです。車いすスペースを鑑賞しやすい位置に設置していただく、あるいは普通の座席を車いすスペースに変換できるようなものにする等の工夫をしていただきたいです。
以上です、よろしくお願いします。
【パブリックコメントに対する大阪府の考え方】
(1)貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
ガイドラインにおいて、車椅子使用者用便房の計画にあたっては、車椅子の回転や介助者の同伴などの多様な動作が可能なスペースを設けることや、便房を複数設置する場合は、障がい者の右勝手、左勝手に対応できるようにすることを記載し、設計者や事業者に対して十分なスペースの確保への配慮を求めているところです。
ガイドラインの改訂後も、設計者向けの講習会や事業者への周知等を通じて、継続して普及啓発に努めてまいります。
(2)貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
バリアフリー法の基本方針では、旅客施設のエレベーター等の利用者は、高齢者、障がい者等に当該エレベーターの利用を譲る等、適正な配慮に努めることが国民の役割として位置づけられているところです。府としても、こうした高齢者や障がい者のための施設の適正利用について、国が作成したポスターやチラシの配布など府民への周知に努めています。
また、ガイドラインにおいては、一度に多くの車椅子使用者が集中することが想定される施設では、エレベーターの籠の大きさ、設置数、配置等を十分に検討することや、一時に多数の利用者が集中する施設では、高齢者、障がい者等のエレベーター利用に際して、誘導を行うなどの人的な対応をすることを記載するなど、ハード面・ソフト面双方から、車椅子使用者がエレベーターを円滑に利用できる環境を整備するよう、設計者や事業者に対して配慮を求めているところです。
ガイドラインの改訂後も、設計者向けの講習会や事業者への周知等を通じて、継続して普及啓発に努めてまいります。
(3)貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
今回のガイドライン改訂(案)において「通路の端部やレジ前等に車椅子使用者の転回スペース(140㎝角以上)を確保」や、「主要な経路上の通路には、25m以内ごとに車椅子の転回に支障がない場所を設ける」とする望ましい整備の基準を追加いたしました。
ガイドラインの改訂後も、設計者向けの講習会や事業者への周知等を通じて、継続して普及啓発に努めてまいります。
(4)貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
ガイドラインにおいて、高齢者、障がい者等の座席の配置は、固定せず、一部取り外し可能とする等複数の選択が可能なよう配慮することや、固定設置する場合は、出入口から容易に到達できると共に、避難しやすく、舞台やスクリーン等が見やすい位置に設けると記載しており、車椅子使用者等が円滑に客席を利用できるよう、設計者や事業者に対して環境整備への配慮を求めているところです。
ガイドライン改訂(案)においては、新たに「客席総数が200を超える場合、車椅子使用者用客席を2カ所以上分散して設ける」とする望ましい整備の基準を追加いたしましたが、ご意見を踏まえ、「客席総数が200を超える場合、車椅子使用者用客席を2カ所以上の異なる位置(異なる階、異なる水平位置)に分散して設ける」と修正し、参考に「客席・観覧席と舞台の例」の図を追加いたします。
ガイドラインの改訂後も、設計者向けの講習会や事業者への周知等を通じて継続して普及啓発に努めてまいります。
北井 遼太
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